6月9日 、今日はロックの日です。
車に乗った瞬間、ナビのお姉さんの声が耳に入ってくる。
と同時に、カーラジオから流れてくるのは忌野清志郎。
〽こんな夜に オマエに乗れないなんて
あこんな夜に 発射できないなんて
日曜日の朝から刺激的な曲が流れてんなーと思いながら、でも悪くない。
改めてロックな日だな。
あの独特な歌い方。
抑揚の激しいイントネーション、それにどことなくぬる~い感じの発声。
さらに奇抜な様子で見るものを魅了する。
この手の「ロックな人」と言うのは、遠い遠い存在であるからこそ”カッコイイ~♡”とか、”ブッ飛んでるぜ!”と感嘆する。
でも、よーく考えてみてください。
こんな人が身内にいると、エラいことですわ…。
オリコンチャートにランクインされる程、人気が出てくればその人を含んだもの全て(ファッション、歌詞、生き方…etc)が正当化される。
逆に、これが誰にも知られていない無名なヤツならどうか。
例えば、自分の弟だとか、息子なら…。
いきなり家の中で…
こんな夜は 発射できないなんてぇぇーー🚀
とシャウトしてる。
おい、大丈夫か?
そう感じても何らおかしくない。
しかも、顔に化粧を施し、破れた革パンに、fuck you!と書かれたTシャツ。
狂ったんじゃないかと思って、家族ならだれもが心配するだろう。
とりあえず落ち着けと声を掛け、水を飲ませる。
そして、勢い任せに
俺は正気だよ!ロックなんだよ!
怒号を放ちながら、床にギターを叩きつけ、破壊する。
ドラマや映画だと、親父にビンタされてそのまま上京する流れ。
そう言えば昔、そんなヤツがバイト先でいました。
いきなり暴れるわけじゃなかったけど、そういうヤツにありがちな寡黙で長髪な野郎が。
もちろん常に黒いブーツ。しかも汚ったない。
さらに、両手首にジャラジャラとシルバーのブレスレッド(?)にドクロの指輪。首元には定番の十字架のネックレス。
だけど、名前は三波。
忘れもしない。
ロック目指してんのに三波ってか?
演歌界の大御所、三波春夫の三波。
そこがものすごく残念で仕方ない…。
別に苗字が悪いわけでも、三波春夫氏が悪いわけでもなく。。
やるせなさ過ぎるわ!(笑)
しかもそんな格好して、バイト先で天ぷら揚げてるんだぜ?
さらに、厨房に入る前に料理長に「三波君、最低でもそのドクロの指輪を外して調理場に入ってくれよ」と言われ、素直に「あ、はい」と答えていた。
ロックな人生ならそこは…
やかましいわ!これを外したんじゃ、俺じゃなくなるんだよっ!このクソジジィがっ!
と暴言を吐いて、白衣を床にたたきつけてドアを蹴り上げる。
そんな期待をどこかしらしていた俺。
しかし、そこは三波君。
至ってまっとうな男の子でした。
しかもそんなロックなヤツに限って几帳面なところがあったりする。
天ぷら粉を作る時にちゃんと計量カップを使う。
しかも、小麦粉を測る時に計量カップが濡れてると、正確な分量じゃなくなるらしい。
ちゃんと水気を拭き取って使うか、もしくは別の計量カップを使い、仕事はきっちりこなす。
真面目かw
◆
その後の三波君、テレビに出るわけでもなく、もちろんオリコンチャートにも載った形跡もない…。
確かにアイツの天ぷら、旨かったな…。
喰いたくなっちまったぜ…ロックな天ぷらを。